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132 これは「孔子がおっしゃった、 『どうしてそれぞれ自分の理想を言わないのか、言ってごらん』と」 という意味の例文だ。これは『論語』からの引用。『論語』の中の「子」とは「孔子」のことで、 「子曰」 は「孔子さまがおっしゃった」という意味になり、 「曰」の後の「盍」からは孔子のセリフになる。 再読文字「盍」には「三」点が付いているが、一度目はこの返り点を無視して「盍」を「なんゾ」 と読む。後は「各々」「爾の志を」と読み、 「志」からは一二点にしたがって「志」「言」「盍」と返っ ていく。二度目の「盍」の読み方は「ざル」で、全体では「子曰く、『盍ぞ各々爾の志を言はざる』 と」となる。 会話文の最後には必ず格助詞「ト」が付くので、孔子のセリフの最後の「ざル」に「ト」 が付くことも確認しておこう 。 この例文は、「盍」が勧誘の用法で使われている例で、「盍」以下は要するに「それぞれ自分の 理想を言ってごらんなさい」という意味になる。ちなみに文中の「爾(なんぢ)」は二人称の人称 代名詞で「おまえ・おまえたち」という意味で、ここでは孔子の弟子たちを指している。

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