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55 さて、「無」は形容詞なので、「なシと読む終止形だけでなく、接続する語によって活用する。 基本は本活用だが、助動詞に接続するときには補助活用(カリ活用)となる。この点は前述の「不」 と似ているね。 ●無(莫)の活用 未然 連用 終止 連体 已然 命令 (本活用) ○ なク なシ なキ なケレ ○ (補助活用) なカラ なカリ ○ なカル ○ なカレ ちなみに、「無」の命令形「無カレ」は、「〜しはいけない。〜するな 訳し、「禁止」の句 法として特別扱いされ、否定形は区別されている(P 「禁止」参照)。

162 一つ目の例文では「無」が「宝」という名詞(体言)に接続しており、「無宝」は「宝無シ」と 読む。否定語「無」は返読文字なので、「宝」から「無」へと戻るぞ。 一方、二つ目の例文では「無」が活用語に接続している。 活用語が「無」に接続する場合は、 活用語は連体形で「無」に接続し、「〜スル無シ」という形になる ので、「忘」は連体形「忘ルル」 になる。ただし、活用語の下に「モノ」や「コト」を補って「〜スルモノ(コト)無シ」としてもOK。 したがって例文は「忘るることし」とすることも可能だ。

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