極める古文2 センター試験編

暁方になるままに まさりたる風の紛れに 参りたま給ひぬ。 「今宵は なりけるが、下りさせ給ひける 上は藤壺にわたらせ給ふ」 と聞こゆ そなたざまへ参り給ふに、立て蔀など、 よろづの所あらはに、例ならず見わたさ れて、姫宮の御方の御小壺の叢に、童べ 下りて、虫屋ども手ごとに持 り。御覧 ずるとて、二宮、御簾を高くもたげさせ 給へるに、十一、 二ばかりにやと見ゆる 御丈立ちにて うつぶきて立ち給へれば、 前へ靡き掛かれる御髪の削ぎめふさやか に、絵に描 たらん心地し まみ ・額 ・  『恋

髪ざし かの雪の朝の御面影なるものか ら、なほけしき異にて気高う、匂ひも光

第7講

明け方になるにつ うにして、 丸見えで、いつもとは違い一面に見通せて の小さな中庭の草むらに、 ぞれ 手に持って る。それをご覧になろうとして 者に 御簾を高く持ち上げさせなさっていると、 女が 十一、 二歳くらいであろうかと見えるお背丈で、 うつむいて ていらっしゃるので、前へなびくように掛かっている御髪の切り えた端がふさふさとして 絵に描いた うな美しい感じがして、目 もとや額や髪の様子は、あ 雪の朝の がお泊まりでしたが、 いらっしゃっています」と ではあるものの、やはり様子に違うところがあって気高く、つやや かな美しさも輝くほどの美 も並ぶ者がないご様子であるのは、 姫宮でいらっしゃるようだ。何事につけ も騒ぎ立てず物静かであ 方へ参上なさると、

恋路大将は

風のせいで

中宮が

たいそう早くに参内なさ

召使の

女房が

お下がりになるとすぐに、帝 立て蔀などが倒れ、あちらこちらが

申し上げるので、 子供たちが下りて、虫かごをそれ

藤壺女御のような

お側に立っている少

大将は

お顔かたち

そちらの

仕える

113

Made with FlippingBook Ebook Creator