極める古文2 センター試験編

ようもたど を思へば、井に たり。かくのみにて ば、鳴る神につく獣の たり。いとはしたなりと思 など見めぐりて籠りをりき。 さるは、石井了陸といふ人のもと りし。この家に、おぼえずおぼえず持明 宮の宮人来あひて、 酒飲み、物語などするに 「この田舎人は、かかる志の侍 て、はるば るにまゐのぼり来しを、その志遂げず て帰 らんことを、いたく思ひ嘆き侍るな 」と、 あるじの語り出でたるを、かの宮人つぶさに 聞きて、 「いと不便なりつることかな。おし なべては叶ひがたきこと れど、志の深さ は、高きいやしきけぢめもなきものぞ。我よ くこととり申さん」と、うけがはれたるに、 うれしきこ たとへ ものなし。この人のは

ようにして るようなことを においてきぼりにさ 気落ちしながら、 都の名 そもそも いた。この家に、思いがけない折 集まって来て、酒を飲み、話などをす (鷹飼い)は、こうこうこのような志がご る都へと上って参りましたが、その志を遂げず とを、たいそう嘆 おります」と、主人(石井了 出したのを、その宮家に仕える人がこまごまと聞いて、 そう気の毒なことであったなあ。普通ならかなえ れないこ ではあるけれど、志の深さは、身分が高いも低いも関係の ものだ。私がうまくいくようにお引き受けしよう」 と、 請け合っ てくださったので、

その後、この人(宮家に仕える人)のはからいによって、畏れ 多い高貴な方の御前などに という書法を高貴なお方が御みずから伝えて下さりなどして、

その鷹飼いは

何一つ成し

鷹飼いは

、石井了陸という人のもとに

参上することも

たとえようもないほどに喜んだ。

お許しが出て、入木

むなしく陸

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