極める古文2 センター試験編

その日になりて、 く、中の君も、遅らか 具し聞こえてぞ出で給ふ。 さや、いかなるべき事にか」と おぼさるれど、父宮もあるべき様お てて、 「今は何しにかは、この庵をまた 帰り見給ふべき。みづからも 都 立ち出で 侍るべきならねば、これなむ対面 限りにて 侍るめ 。年ごろ去りがたきほだしとかかづ らひ聞こえて、後の世の勤めも、おのづから 懈怠し侍りつるを 今よりは、一筋に行ひ勤 め侍るべきなれば、いみじうなむうれしかる べき」とて、うち泣き給ひて、 行く末もはるけか べき別れには逢ひ見  『と

む事のいつとなきかな とて、 「今日はこといみすべしや」と 押し

第1講

その日になって、 はとてもすばらしく、中 つもりはない で、お連れ申 やはり、 「さあ、 どうかしら、 こ つらい気分にばかりおなりだが、父宮 計画なさって、 「 この庵にお戻りになれようか。私も京に出てい ありませんので、お目にかかるのもこれが最後でし の間、のがれられない束縛として関わり合い申し上げて のための仏道修行も、自然とおろそかにしていましたが、今 らは、ひたすら仏道修行のお勤めができますので、そのことが とてもうれしいにちがいない」と言ってお泣きになり 行く末も…=将来の幸せも遥かに続く ちがいないと思え

るあなたとの別れですが、またお逢いすることがいつかわか らないのが、つらいことです。 と言って、 「今日は不吉な言動を慎まなくてはね」と、

あなた(=女君)は

女君(=姉君)

が新居にお移りにな

、今となってはどうして

父宮が

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