極める古文2 センター試験編

る折々は、 ず成りぬると、 近きほどに生ませ給 にをかしからん顔つき 残り多かる。さならでは何 らん。かまへて亡骸を損な で もしたがひもぞする」とうしろめた 「さればよ、心やすくおぼせ。この山の は出ださじ。塵灰ともなさで、つねに君だち 具して遊ばしつる挙白堂のそこそこに葬るべ し。翁、物学びうち休むかたなれば、なくて もわが傍らは離れじ。 苔の下にもさ思ひ給へ。 遺言ゆめたがへじ」 と誓ひ言へば、 喜びて、 「願

ひ、今は満ちぬ」と手を合はす。ものなど言 ひ止みて、つゆまどろみ入りたるに、いささ か気色直り 蘇りぬる心地 ながら、なほ頼 むべきものにはあらず。 四、 五日ありて、初桜の面白きを人のもと

また病が少 それを詠み残さ もっていらっしゃっ の、すばらしくかわいら てしまうことが、いよいよ心 残すことがあるでしょうか。必ず ま墓におさめてください。もし いけない」といかにも気がかりな様子であ 安心していなさい。亡骸をこの山の外へは出す て塵や灰とすることなく、いつも れて遊んでいた挙白堂のど そこに埋葬しよう。私が学 たり休んだりする所なので、この私のそばを離れないだろう 死後の草葉の陰 そむくまい」と 今となってかなった」と手を合わす。

やめて、ちょっと眠 に落ちたところ、少し病状も持ち直して 回復するような気持ちがするものの、やはり期待できるも で はない。

にもそのように思っていなさい。遺言に決して 私が娘に

誓って言うと、

私の遺志と

あなたが

娘は ものなどを言うのを

娘は 喜んで、 「願いが、

子どもたちを引き連

異なることもあると

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