極める古文2 センター試験編

来のたよりをぞまつ 政員が家にとへば、あるじの母 む、みづ はさしたる姿して出でたちけるに ふたたび

のかたしき 心ひけど、 この をさなきわらはべ、 犬すらも、朝夕目馴れ りければ、しかすがに、別 心ぐるしう、むねつとふたがる 水無月のつごもりの日、本洗馬の なむと欲りするに、いましばと止めて、 里の人び 、うまのはなむけして、とりどり に歌ながめてわれに贈りける。宿のぬし可児 永通、 行く旅をめぐりも帰 この里の馴れ わ

がやを住処とはして あさゆふ、こととひむつびたる政員、 別れては雲路はるかにへだつ も雁の往

寝そべる犬 こうに怪しみ見 ますます心苦 くな 六月の三十日、本洗馬 く居てください、と引きとめ るしにと、あれこれ歌を詠んで私 人の可児永通の歌は、 行く旅を…=方々を旅してまわった後 帰って来てほしい。馴れたわたしの家を自分の て。 毎日、親しく話し合った政員の歌は、 別れては…=お別れした後は、たとえどんなに遠く隔た ていようとも、雁の往来に託してでも、あなたから お便り を心待ちにしています。 政員の家を訪ねたところ、主人(= で出て来られたが、 またと こんなに老いぼれてしまっては、明日にも消えようとする か

あなたは

おっしゃいますが、私はもう年老いた身です。

私が 、またお伺いしますよ、と言ったら、

私を 見馴れてい

政員 )の母が年老いた姿

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