極める古文2 センター試験編

り。 「人や見つけむ」と思ふもいと恐ろしき に、雷さへおどろおどろしう鳴れば またも 「いかならむ」と女の心思ひやるに、我さへ いと苦しくて、胸を押さへつつ、何くれと慰 め暮らす。やうやう雨は晴れぬれど 風はな

神仏を念じ ませぬるに、か いとうれし。やうや づのことども語らふも かとふけゆく秋の夜、軒 の、戸口さへさながらなるに、 影もいつしか雲隠れて、雨をさそへ た寒く、うちしめりゆく虫の声々いとあ なり。 風わたる草のたも にあらそひて露散り

まがふ袖の上かな 明けゆく軒の雨そそきも い わびし 降 りしきるに、立ち出でむ空もなくて籠りを

心情を思いやると、自分までもひどく苦しくて、胸を押さえな がら、あれこれと てきたが 風はなおも激しいのに、 やはり人目もはばかられて、 夕暮れ時に出立した。粗末な車に乗って行くと、女は、前から

取り戻した 落ち着かせなが いつの間に ふけて で、戸口までもあらわに いつの間にか雲に隠れて、 雨 しんみりとした虫 声々がたいそ 風わたる…=風が吹きわたると草 かかるこ よ。 明けてゆく軒に雨が降りかかるのも、たいそうも 絶え間なく降り続ける中、出立できる空模様でもないの こもっていた。 たいそう恐ろしい上に、雷までも激しく鳴るので、また 「ど うだろう( それと先を争うように私(

= また驚いて気絶したりしないだろうか

男は 「人が見つけるかもしれない」と思うのも

女を 慰めて時を過ごす。しだいに雨はあがっ

= 男 )の袖にも涙がたいそう降り

) 」と女の

女の 心を

79

Made with FlippingBook Ebook Creator