極める漢文1

3 〈書き下し文〉 〈現代語訳〉 張無垢が言うには、「私めは、よその家の子弟で素直でつつしみ深く頭の回転も早い者を目にしたときには、 この子を愛する気持ちは、ふつう人が宝物を大事にするように埋もれて傷がつくのを恐れるだけでなく、なんと かして高い地位につかせてやりたいと思う。だから、よその家の子弟を教えるにあたっては、わずかばかりでも 欺こうとする心が生じたことはけっしてない。」 第 講  周煇『清波雑志』 書き下し文・口語訳 張 ちやう 無 む 垢 こう 云 い ふ、「某 それがし 人 じん 家 か の子 し 弟 てい の醇 じゆん 謹 きん 及 およ び俊 しゆん 敏 びん なる者 もの を見 み れば、之 これ を愛 あい すること啻 た だに常 じやう 人 じん の宝 たから を愛 あい するがごと く、唯 た だ其 そ の埋 まい 没 ぼつ 及 およ び之 これ を傷 しやう 損 そん するを恐 おそ るるのみならず、必 かなら ず之 これ をして尊 そん 貴 き の所 ところ に在 あ らしめんと欲 ほつ す。故 ゆゑ に人 じん 家 か の子 し 弟 てい を教 をし ふるに、敢 あ へて一 いつ 点 てん の欺 ぎ 心 しん も萌 きざ さず。」

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