極める漢文1

5 〈書き下し文〉 大 たい 抵 てい 書 しよ を観 み るには、先 ま づ須 すべか らく熟 じゆく 読 どく し、其 そ の言 げん をして皆 みな 吾 われ の口 くち に出 い づるがごとからしむべし。継 つ ぐに精 せい 思 し を以 もつ 〈現代語訳〉 おおよそ四書五経を精読するには、第一にその言葉が全て自分の口から出たもののようになるまで熟読しなけ ればならない。次にくわしく考え、その意味が全て自分の心から出たもののようにする。そうして初めてその道 理を理解することができる。文意に疑問があり、多くの説が入り乱れているときは、先入観を捨てた心で静かに 思索するのがよく、性急にいずれかの説に決めつけたりしてはいけない。 講  『朱子文集』 書き下し文・口語訳 てし、其 そ の意 い をして皆 みな 吾 われ の心 こころ に出 い づるごとからしむ。然 しか る後 のち 以 もつ て得 う ること有 あ るべきのみ。文 ぶん 義 ぎ に疑 うたが ひ有 あ りて、衆 しゆう 説 せつ 紛 ふん 錯 さく するに至 いた りては、則 すなは ち亦 また 虚 きよ 心 しん 静 せい 慮 りよ して、遽 にはか に其 そ の間 かん に取 しゆ 捨 しや する勿 な かれ。

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