極める漢文1

書き下し文 口語訳

6 〈書き下し文〉 〈現代語訳〉 人がこの世に生まれたときには、すでに死んだ者を死者とみなすことを知っているだけで、まだ死んでいない 者が死者であることもあということを知らない。酒のかめや飯の袋のように、酔ったり夢見たりするだけで、 ひとかたまりの土くれ同然の者は、生きているとっても、すでに死んでいる人間とどこも異ならない。 第 講  鍾嗣成『録鬼簿』 書き下し文・口語訳 人 ひと の斯 こ の世 よ に生 う まるるや、但 た だ已 すで に死 し せる者 もの を以 もつ て鬼 き と為 な すを知 し るのみにて、未 いま だ死 し せざる者 もの も亦 また 鬼 き なるを知 し らざるなり。酒 しゆ 甕 をう 飯 はん 嚢 なう の、或 ある いは酔 ゑ ひ或 ある いは夢 ゆめ み、塊 かい 然 ぜん たる泥 でい 土 ど のごとき者 もの は、則 すなは ち其 そ の人 ひと 生 い けりと雖 いへど も、已 すで に 死 し せるの鬼 き と何 なん ぞ異 こと ならんや。

書き下し文・口語訳

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