極める漢文1

書き下し文 口語訳

8 〈書き下し文〉 〈現代語訳〉 物として蓮を愛好する者は、ある者は香りを挙げ、ある者は姿の美しさを挙げるが、いまだ蓮が持ちあわせる 徳を十分に理解した者はいない。周子が「愛蓮説」を提出してからは、その徳を称賛しない者はいない。だが、 蓮の持つ才(実用的な価値)には及んでいないのである。 窃 ひそか に用 よう の大 だい なる者 もの を見 み るに、実 み と根 ね とは以 もつ て 籩 へん 豆 とう に供 きよう すべく、以 もつ て民 たみ の食 しよく に充 あ つべく、以 もつ て疾 しつ 疢 ちん を療 りよう すべし。 細 こま かきは葉 は ・鬚 しゆ ・茎 くき ・節 ふし に至 いた るまで、一 いつ として人 ひと の採 さい 択 たく に資 し すべからざる者 もの 無 な し。

蓮 はす の物 もの たる、之 これ を愛 あい する者 もの 或 ある いは臭 しう 味 み を以 もつ てし、或 ある いは芳 はう 沢 たく を以 もつ てするも、未 いま だ能 よ く其 そ の徳 とく を知 し る者 もの 有 あ らざる なり。周 しゆう 子 し 之 これ が説 せつ を為 な してよりして、人 ひと 其 そ の徳 とく を称 しよう せざるなし。然 しか れども未 いま だ其 そ の才 さい に及 およ ばざるなり。 ひそかに蓮の主たる用途を考えてみると、実と根は祭祀において供され、民の食事に充てられ熱病の治療に も用いられる。細かいところでは、葉・花のおしべ・茎・節にいたるまで、一つとして人が採取て役に立た い部分はない。 第 講  張履祥『楊園先生全集』 書き下し文・口語訳

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