極める漢文1

11 〈書き下し文〉 〈現代語訳〉 荊の荘哀王は雲夢の地で猟をして、随 兕 という珍獣を射当てた。(すると)申公子培が王を脅かしてそれを奪 い取ってしまった。王が言うには、「なんと申公子培は粗暴で無礼なことか」と。(そこで)官吏に命じて申公子 培を誅殺しようとした。(すると)側に仕える大夫たちがみな御前に進み出て諫めて言うには、「子培は賢者でご ざいます。しかも、百人にも匹敵する王の家臣でございます。これにはきっと理由があるはずです。どうか子培 の考えをお察し下さいませ」と。三か月も経たないうちに子培は病気で亡くなた。 第 講  『呂氏春秋』 書き下し文・口語訳 荊 けい の荘 さう 哀 あい 王 わう 雲 うん 夢 ぽう に猟 れふ し、随 ずい 兕 じ を射 い て、之 これ に中 あ つ。申 しん 公 こう 子 し 培 ばい 王 わう を劫 おびや かして之 これ を奪 うば ふ。王 わう 曰 い はく、「何 なん ぞ其 そ れ暴 ばう に して不 ふ 敬 けい なるや」と。吏 り に命 めい じて之 これ を誅 ちゆう せんとす。左 さ 右 いう の大 たい 夫 ふ 皆 みな 進 すす み諫 いさ めて曰 い はく、「子 し 培 ばい は、賢 けん 者 じや なり。又 また 王 わう の百 ひやく 倍 ばい の臣 しん たり。此 こ れ必 かなら ず故 ゆゑ 有 あ り。願 ねが はくは之 これ を察 さつ せよ」と。三 さん 月 げつ を出 い でずして、子 し 培 ばい 疾 や みて死 し す。

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