センター現代文一問一答必修編

第 12 講 評論

第 12講

次の文章を読んで、後の 近代西欧の作曲家たちは、各時 例えば、音楽とは抽象的な音の組み と考えた時代もあった。しかし、音楽が 楽作品というものは完結性のある客体的な存 特に注目すべきことは、このような作品概念が、 という点である。 よく知られているように、音楽を「書き記す」という伝統 前の音楽は、基本的には口頭伝承に依存したものであったわけ めて保つことを可能にしたのである。そして、ルネサンス期に、そ 理的に正確に示し得るように改められてゆくにつれて、かつての口頭伝 雑な音楽が可能 なってくる――口頭伝承依存期の に組み合わされるよう 、複雑な ない限り伝達し得ないというばかりではなく、その作曲そ ものも、 「書くこと」 の長大な小説や論文を執筆する文筆家の創作過程になぞらえてみればわかりやすいかも 自分 作品を完成してからそれを機械的に文字として書きつけてゆくわけではなく、 書きな

(本文全

対 (注4) 位法的音楽が、芸術音楽の主体となってゆくのである。こうした複雑な音楽は、

単 (注2) 旋律の聖歌に代わって、個々に独立した動きをもついくつもの

制限時間

10 分

記 (注1) 譜法の発明に端を発する。それ以

推 すい 敲 こう を重ねることによって、

実施日:

声 (注3) 部が同時

一 いつ 篇 ぺん

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