みんゴロ極める古文1
第6講 『平家物語』
3 出 典 解 説 安中期の人で、言わずと知れた『源氏物語』の作者。4の吉田兼 けんこう 好は鎌倉末~南北朝期の人で、随筆『徒 然草』の作者。 『 平 へいけ 家 物語』は鎌倉時代に成立した「軍記物語」。『徒然草』には「 信 しな 濃 のの 前 ぜん 司 じ 行 ゆき 長 なが 」が作ったと 書かれている。 「軍記物語」 としては、 『 保 ほうげん 元 物語』『 平 へいじ 治 物語』『平家物語』『 太 たいへいき 平記 』『 曽 そ が 我 物 語』『義 ぎけいき 経記』 がある。『平家物語』の異本として『源 げんぺいせいすいき 平盛衰記』という作品もあり、これも「軍 記物」の一種として考える場合がある。 『平家物語』は琵琶法師による平曲にのせて語られたので、平家独特の「音便」が多く使われている。 たとえば、「(音便形)てんげり→(元の形)てけり」、「(音便形)やらん→(元の形)にやあらむ」、 「(音便形)ごさんなれ→(元の形)にこそあるなれ」などがある。 冒頭文は有名な「祇 ぎおんしょうじゃ 園精舎の鐘の声、諸 しょぎょうむじょう 行無常の響きあり。娑 さらそうじゅ 羅双樹の花の色、盛 じょうしゃひっすい 者必衰のことわ りをあらわす。」で始まるが、平家一門の栄華と没落・滅亡を「仏教的無常観」を根底に据えて「和 漢混交文」で書いたもので、力強さと叙情性を兼ね備えた傑作文学といえる。 解答
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