新・ゴロゴ漢文問題集 基礎・必修編 v1.01
第25講 抑揚
書き下し文 ういうことを私はすでに聞いたすでに見た。すでに経験し た(そんな ばかりだ)。百年生きる さえその長さに 嫌になる。ましや生きながらえることの苦しさといったら なおさらだ」と。 (楊 やう 子 し 曰 い はく)「理 り として久 ひさ しく生 い くる もの無 な し。生 せい は之 こ れを貴 たつと んで能 よ く存 そん する 所 ところ に非 あら ず。身 み は之 こ れを愛 あい して能 よ く厚 あつ くす る所 ところ に非 あら ず。且 か つ久 ひさ しく生 い くること奚 なん ぞ 為 な さん。 五 ご 情 じやう の 好 かう 悪 を は、 古 いにしへ 猶 な ほ 今 いま のご ときなり。 四 し 体 たい の 安 あん 危 き は、 古 いにしへ 猶 な ほ 今 いま の ごときなり。 世 せ 事 じ の 苦 く 楽 らく は、 古 いにしへ 猶 な ほ 今 いま のごときなり。 変 へん 易 えき 治 ち 乱 らん は、 古 いにしへ 猶 な ほ 今 いま のごときなり。既 すで に之 こ れを聞 き けり。既 すで に 之 こ れを見 み たり。既 すで に之 こ れを更 へ たり。百 ひやく 年 ねん すら猶 な ほ其 そ の多 おほ きを厭 いと ふ。況 いは んや久 ひさ しく 生 い くることの苦 くる しきをや」と。 「わるい」の意のときは「あく」 、 いやだ」 「 「かわる」の意のとき 「こうお」と訓む
重要語句
▪ 好悪
▪ 変易
「悪」の音読みは、 である。 「好悪」は、好き嫌いということであるから、 「易」の音読みは、 「やさしい」の意のときは「い」 、 「変易」は、 「変」と重ねているので、 「へんえき」と訓む。
も昔から何も変わっていない。世の中の苦楽も昔から何も変 わっていない。変易や治乱も昔から何も変わっていない。こ
ながらえるどということをなぜしようとするのだ。五感の 好き嫌いは昔から何も変わっていない。身体の健康・不健康
とができるものではない。身体というものは、自愛したとこ ろで健康を保てるものではない。そのうえ、いつまでも生き
現代語訳 (楊子が言うには)「道理として生きながらえることはでき ない。生命というものは、大事にしたところで保ち続けるこ
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