新・ゴロゴ漢文問題集 基礎・必修編 v1.01

第26講 比較1

書き下し文 て、言うは、「これが私の手本です。あなたは分かります か」と。これよっ鄭法士は手本の何たるかを理解し、技 芸が上達した。 隋 ずい の田 でん ・楊 やう 鄭 てい 法 はふ 士 し と倶 とも に画 ぐわ を能 よ くする を以 もつ て名 な あり。法 はふ 士 し 自 みづか ら芸 げい の楊 やう に如 し かざ るを知 し るなり。乃 すなは ち楊 やう に従 したが ひて画 ぐわ 本 ほん を求 もと むるに、楊 やう 之 これ に告 つ げず。一 いち 日 じつ 法 はふ 士 し を引 ひ き て 朝 てい 堂 だう に 至 いた り、 指 ゆびさ すに 宮 きゆう 闕 くゑつ ・ 衣 い 冠 くわん ・ 人 じん 馬 ば ・ 車 しや 乗 じよう を 以 もつ てして、 曰 いは く、「 此 こ れ 吾 わ が 画 ぐわ 本 ほん なり。子 し 之 これ を知 し るか」と。是 これ に由 よ り て法 はふ 士 し 悟 さと りて芸 げい 進 すす めり。 「自然と」の意の場合と

重要語句

▪ 自

▪ 由是

▪ 乎

副詞では、 「おのづから」と訓み、 の意の場合があるが、本文では後者。 本文では、送り仮名に「ン」がなく、 「之を知るか(や) 」と訓ん 「由」は助詞の働きをする返読文字で、 「~によりて」と訓み、理由を 示語の 「是」を組み合わせた 「由是」は、慣用表現で 「これによりて」と訓 て・こういうわけ 」の意。

現代語訳 隋代の田僧亮・楊契丹は鄭法士とともに画才で名を知られ ていた。鄭法士は自らの才能が楊契丹に及ばないことを自覚 していた。そこで楊契丹につき従って画の手本を求めたこ ろ、楊契丹は教えてくれなかった。ある日、鄭法士連れて 朝堂にやって来て、宮殿・衣服や冠・人・馬・ 車を指差し

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