新・ゴロゴ漢文問題集 基礎・必修編 v1.01
第2講 返読文字1
「惟」などと同じ。累加形で 「ただに~の て傷がつくのを恐れるだけでなく、なんとかして高い地位に つかせてやりたいと思う。から、よその家の子弟を教える にあたっては、わずかばかりでも欺こうとする心が生じたこ とはけっしてない」と。 張 ちやう 無 む 垢 こう 云 い ふ、「 某 それがし 人 じん 家 か の 子 し 弟 てい の 醇 じゆん 謹 きん 及 およ び俊 しゆん 敏 びん なる者 もの を見 み れば、之 これ を愛 あい すること 啻 た だに常 じやう 人 じん の宝 たから を愛 あい するがごとく、唯 た だ 其 そ の埋 まい 没 ぼつ 及 およ び之 これ を傷 しやう 損 そん するを恐 おそ るるのみ ならず、必 かなら ず之 これ をして尊 そん 貴 き の所 ところ に在 あ らし めんと 欲 ほつ す。 故 ゆゑ に 人 じん 家 か の 子 し 弟 てい を 教 をし ふる に、敢 あ へて一 いつ 点 てん の欺 ぎ 心 しん も萌 きざ さず」と。 書き下し文
重要語句
▪ 不啻
2
「啻」は 「唯」
の意。
現代語訳 張無垢が言うには、「私めは、よその家の子弟で素直でつ つしみ深く頭の回転も早い者を目にしたときには、この子を 愛する気持ちは、ふつう人が宝物大事にするように埋もれ
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