新・ゴロゴ漢文問題集 基礎・必修編 v1.01
第13講 否定 2
「為」には「ために」 「たり」など多くの訓みがあるが、本文では「物た として」の意。 いられる。細かいところで、葉・花のおしべ・茎・節 いたるまで、一つとして人が採取して役に立た 部分は ない。 蓮 はす の物 もの たる、之 これ を愛 あい する者 もの 或 ある いは臭 しう 味 み を 以 もつ てし、或 ある いは芳 はう 沢 たく を以 もつ てするも、未 いま だ能 よ く其 そ の徳 とく を知 し る者 もの 有 あ らざるなり。周 しゆう 子 し 之 これ が 説 せつ を為 な してよりして、人 ひと 其 そ の徳 とく を称 しよう せざる 莫 な し。 然 しか れども 未 いま だ 其 そ の 才 さい に 及 およ ばざるな り。 窃 ひそか に用 よう の大 だい なる者 もの を見 み るに、実 み と根 ね とは 以 もつ て籩 へん 豆 とう に供 きよう すべく、以 もつ て民 たみ の食 しよく に充 あ つべ く、 以 もつ て 疾 しつ 疢 ちん を 療 りよう すべし。 細 こま かきは 葉 は ・ 鬚 しゆ ・茎 くき ・節 ふし に至 いた るまで、一 いつ として人 ひと の採 さい 択 たく に資 し すべからざる者 もの 無 な し。 書き下し文 ▪ 為物 ひそかに蓮の主たる用途を考えてみると、実と根は祭祀 において供され、民の食事に充てられ、熱病の治療にも用
重要語句
現代語訳 物として蓮を愛好する者は、ある者は香りを挙げ、ある 者は姿の美しさを挙げるが、いまだ蓮が持ちあわせる徳を 十分に理解した者はいない。周子が「愛説」を提出して からは、その徳を称賛しない者はいない。だが、蓮の持つ 才(実用的な価値)には及んでないのである。
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