新・ゴロゴ漢文問題集 基礎・必修編 v1.01
「 公 賞 鑑 に 於 て 当 行 に 非 り」と。 急 いそ ぎ 之 これ を 懐 ふところ にして 去 さ る。 後 のち 貴 き 家 か こう しやう かん おい たう かう あら ず、 殊 こと に 殺 さつ 風 ぷう 景 けい な
て 此 の 物 を 懸
火 器 し るに 由 よし 無 な し」と。 余 よ 曰 い はく、「 何 なん ぞ 縄 なは も くわ 知
碓 ざるなり」と 鬻 ひさ ぐ 者 もの 肯 がへん ぜずして 曰 い はく、
て 云
に鬻 ひさ ぎ、竟 つひ に百 ひやく 金 きん を得 え たりと聞 き く。
さず。如 も し砕 くだ くれば、則 すなは ち火 くわ を辟 さ くるの説 せつ
之 を 撃 ば、必 かなら ず砕 くだ けず、価 あたひ 数 すう 百 ひやく 金 きん なるも多 おほ しと為 な これ
かく たらず、理 り として価 あたひ 数 すう 百 ひやく 金 きん を索 もと むる能 あた は
書き下し文 現代語訳
客 有 い ふ、「 冑 かぶと に 嵌 は むれば、 陣 ぢん に 臨 のぞ んで 以 もつ て かく
き を辟 さ くべし。然 しか れども確 かく たるや否 いな やを
こ
あ り柴 さい 窯 えう の片 へん 磁 じ を携 たづさ へ、数 すう 百 ひやく 金 きん を索 もと め
もの う たざる。 如 も し 果 は たして 火 くわ を 辟 さ くれ か け、 銃 じう を 以 もつ て 鉛 えん 丸 ぐわん を 発 はつ して
74 ある来客が名品の柴窯の片磁を持参し、数百金の値で売 りつけようとして言うには、「 (これを)冑にはめておけば、
ざいませんね。野暮ったい人ですこと」とあたふたと 片を懐にしまい込んで去てしまった。後に高貴家に売 りつけて、ついに百金を手に入れたとのことである。
避けるという説は確かでないですから、道理として数百金 も値を求めることはできません」と。売人は承服しないで 言った。「あなた様は磁器の鑑賞については専門家ではご
でも絶対に砕けることはないですから、数百金の値でも高 くはありません。もし砕けたらば、あなたの言う銃弾を
は言った。「どうしてこの破片を縄につるし、銃弾で撃っ てみないのですか。もし本当に銃弾避けたならば、戦陣
戦陣に臨んで銃弾を避けることができます。ですが、それ が確かなことかを知る方法はございません」とそれで私
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