極める古文1 基礎・必修編
らの上達部・殿上人、心にくく思ひければ、 「さ
やどのしるしなるらん と読み上げ給ふを聞てなむ、ほめののしり ける。大納言も、殿はじめ、みな人いみじ と思ふ気色を見給ひて、「今なむ、胸すこし 落ちゐ侍りぬ」など、申し給ひける。
りとも、この大納言故なくは詠み給はじ」と 思ひつつ、いつしか、帥殿読み上げ給へば、 むらさきの雲とぞみゆる藤の花いかなる
長をはじめ、そこにいるすべての人がすばらしいと感じている 様子をご覧になって、「やっと少しほっとしました」などと申 された。
の花は、どんなにめでたい家のしるしなのであろうか。(= 藤原氏の栄華をほめ讃える歌) と読み上げなさるのを聞いて、 人々は ほめ讃えた。 公任も 、道
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