極める古文1 基礎・必修編

第3講  『源氏物語玉の小櫛』

 「男女、その人人の、けはひ心ばへにしたがひて一やうならず」=「(源氏に登場する)男女、その一 人一人が、態度や気立てに応じて描き方が一通りではない」と訳してみるとうまくいく。正解は1の「気 立て」。  Fの「よく分かれて」 は、そのあとに、「おぼろげの筆の、かけも及ぶべきさまにあらず」=「並 たいていの筆の力では、決して及ぶこができるような書きぶりではない」とあるところから、ここは

『源氏物語』の作者である紫式部の文章力のことを言っていると判断できるので、1と2は×。 次に3の「よく分かるように書いて」と4「うまく書き分けて」だが、「男女、その人人の、けはひ 心ばへにしたがひて」とあところから、登場人物の一人一人を見事に「書き分けて」いるととれるの で、正解は4。ちなみに「分かる」には「わかる」とい意味はない。「わかる。理解する」という意

このゴロからわかるように、「おどろおどろし」という形容詞は、「おおげさなさま」を表しており、 ここでは1の「おおげさな様子の事」が正解。 Eの「心ばへ」 は多義語だ。文脈判断も必要になるが、まずは単語の意味の確認をしよう。 所 のロ バ 変、 気立て がよくて 心遣い に 趣 がある こころばへ=1気立て 2心遣い 3趣

選択肢では1が「気立て」なので、ズバリこれで一発といきたいが、確認をしておこう。前後の文脈 をつかむと、ここでは『源氏物語』登場人物が一人一人見事に描き分けられていることを述べている 箇所で、「心ばへ」の直前が「けはひ」となっているところから、この 「心ばへ」は登場人物の性格や 気立てのことだ と判断できる。

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