極める古文1 基礎・必修編

こころみに本をかくして、女御にはみせさせ 給はで、「やまと歌は」とあるをはじめにて、 歌にてもなかりけり。かかることなむと父 おとどはきき給ひて、御装束して、手洗ひな どして、所々に誦経などし、念じいりてぞお はしける。 になりたいと思います。 におっしゃって、(続く言葉を)お尋ねになったところ、 女御 は 言い違えなさることは詞書きの部分にも歌についてもなかっ た。こういうことが(=女御に古今集の暗誦のテストをする と)があったと、 女御の 父親である大臣がお聞きになって、正 装なさって、手を洗い清めなどして、あちこちお寺に読経の ご依頼どをなさり、一心にお祈りなさっていたそうだ。 まづの句のことばをおほせられつつ、とはせ 給ひけるに、いひたがへ給ふこと、詞にても

女御が 『古今集』を暗誦なさっているとお聞きになって、 帝は 、 試しに本(=『古今集』)を隠して、女御にはお見せにならないで、 「やまと歌は」とある「かな序」を初めとして、最初の句を次々

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