極める古文1 基礎・必修編

第5講  『更級日記』

P OINT 助動詞「る・らる」の四つの意味 1 受身「(~に )~される」 ➡「~に」の部分が文中にあれば識別は容易だが、省略されている 場合は文脈判断になる。 2 尊敬「お~になる・~なさる」 ➡主語が偉い人。ただし、主語は省略される場合が多いので 気をつける。 3 可能「~できる」 ➡下に打消語を伴って使われる場合が多いので、結局は打消語とあわせて「~ できない」という不可能を表す。鎌倉時代以降は単独で可能を表す場合がある。 4 自発「(自然と )~する」 ➡「心情語+る・らる」という公式がすべてだが、この心情語とい うのが曲者。一般的には「思ふ(思ひ出づ・思ひ知る・思ひ嘆く)・しのぶ・泣く」に代表され る「心」に関係する語が上にあると「る・らる」は自発になるが、最終的には文脈判断になる。 Aの選択肢をみると、 「私のような宮仕えに慣れない里人は、いるかいないかさえ『知られるはずもない』」

1 「知られるはずでもない」と 「知られてしまうのもいけない」が受身の訳、 「知ることができそうにもない」が可能の訳、 「知っておられるとは考えられない」が尊敬の訳、 「知 らなければならないわけでもない」は「る」に該当する訳がないので×。 ここでの文脈は、 と受身になっている箇所ので、正解は 。 は「べし」の訳が間違っている。ここの「べし」は当然 (あるいは強めの推量)なので、「~はずだ」と訳す。私のような宮仕えに慣れない者は宮中では誰にも 「知られはずがないわ」と謙遜している文脈。 2 3 4 5 1 2

85

Made with FlippingBook HTML5