極める古文1 基礎・必修編

第7講  『源氏物語』

問五 問いが「主部全体を抜き出して」というのがクセモノだ。ここは同格の「の」が理解できている かどうかだろう。 格助詞「の」の同格用法 「の」=「~で(あって)」

黄なる生絹の、単袴、長く着なしたる童 の 、をかしげなる、出て来て、うち招く。 =色の 単袴を長めにこなした で 、かわいらしい 童が 出て来て、手招きをする。 同格の「の」があるために、主格「が」を補って訳すことになる。 解答としては主部全体を抜き出 せ、とあるので、同格でつながれた部分は本来全部残らず抜き出すことになるが、そうすると、「黄な る生絹の、単袴、長く着なしたる童の、をかしげなる」となり、ちょっと長すぎる。そこで修飾部分は

直後に「うちとけ給ひて(=気を許しなさって)」とあるように、「給ふ」という尊敬語があるので主 語は「源氏」。この場面は、源氏が車を目立たないように粗末なものにしたり、先払いにも声をあげさ せなかったりしてお忍びで出掛けいる場面で、「自分のことをまさか源氏だとは知るわけがない」と 源氏が気を許しているところ。「誰とか」の 「か」は反語 なので、「~だろうか、いや~ない」と訳す。 文末の「む」は推量「~だろう」。 解答 自分を誰であると知るだろうか、いや誰であるとは知らないだろう。

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