極める古文1 基礎・必修編

― 推定の助動詞「めり」の上にナリ活用の形容動詞が付くと、この形になる場合が多い。「 なるめり」 →「 なんめり」→「 なめり」と変化する。この形は、すでに勉強した伝聞・推定の助動詞「なり」 と同じものだ。必ずP を参照して、復習しておこう! 問九 登場人物が多いが、童と随身と惟光と源氏の四人の人物関係を正確に把握することが大切だ。傍 線部を部分に分けて、主語や目的語を補って訳してみよう。 取らせたれば、 門あけて惟光の朝臣出で来たるして、 奉らす ∥ ∥ ∥ 童が随身に扇を 丁度惟光朝臣が門を開けて出て来たので、 随身は惟光を通じて源氏に 取らせると、 扇を差し上げる。 ポイントはまず、 「奉らす」にある。「奉らす」は謙譲語の「奉る」=「差し上げる」に使役の「す」=「さ せる」の付いたものなので、「誰かを通じて何かを差し上げさせる」という関係とわかる。次に、格助 詞「してが惟光の朝臣に付いているので、 「惟光の朝臣をして」=「惟光の朝臣を通じて」と訳せれば、 「差し上げる」対象は主人である「源氏」はず。まとめると、「惟光の朝臣を通じて扇を源氏に差し上 げさせる」となるので、正解は3。この問題は、敬意の対象を把握する問題にもなっているで、注意 解答 なさけなげなるめる ― ― 89 となったもので、「ん」が表記されない形。

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