極める古文1 基礎・必修編

第7講  『源氏物語』

54 出 典 解 説  『源氏物語』は平安時代中期の西暦1000年頃に、紫式部によって書かれた物語。全 帖。 日本文学史上、 燦 さん 然 ぜん と輝く大傑作だ。作者の紫式部は中宮 彰 しょうし 子 に仕えていた女房。中宮彰子は 一条帝の后で、藤原氏の栄華の頂点を極めた道長の娘にあたる。藤原道長を中心とした人物関 係図は『古文単語ゴロゴ』や『古文出典ゴロゴ』にくわしく載っているので、そちらを参照し てほしい。 清 せいしょうなごん 少納言 の随筆『枕草子』が「をかし」の文学 と呼ばれるのに対して、 紫式部の『源氏物語』は 「あはれ」の文学 と呼ばれる。江戸時代の国学者、 本 もとおりのりがな 居宣長 が『源氏物語玉の 小 おぐし 櫛 』において、『源 氏物語』の本質を「もののあはれ」にあると評したのは有名だ。 平安時代には、 『伊勢物語』から始まる「歌物語」の系譜と、 『竹取物語』から始まる「伝奇(作り) 物語」の系譜とがあったが、こ『源氏物語』で二つの系譜は統合される。 「 歌物 語」 「伝 奇(作り )物語」 『 伊 い せ 勢 物語』  『 竹 たけとり 取 物語』 『 大 やまと 和 物語』  『 宇 う つ ほ 津保 物語』 『 平 へいちゅう 中 物語』  『 落 おちくぼ 窪 物語』      『源氏物語』 紫式部作

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