極める古文1 基礎・必修編

190 物 」とも言う)へ続く。中でもこの『大鏡』は最高傑作の誉れが高い。 歴史物語の 成立順は、『栄花(華)物語』『大鏡』『今鏡』『水鏡』『増鏡』 の順。「 えーい、 大 だい 今 こん 水 みず 増 ま し 」と覚 えておこう。 歴史物語最初の作品である 『栄花(華)物語』は、 赤 あかぞめえもん 染衛門 が書いたと言われる作品だが、藤原道 長に対する賛美が中心。 これは赤染衛門の仕えていた中宮 彰 しょうし 子 の父が藤原道長であったことを考え ると、当然といえる。それに対して 『大鏡』のほうは藤原道長への賛美だけにとどまらず、批判的 な視点も持ち合わせている点がすぐれいる。 また、『大鏡』は構成上に大きな特長がある。それは 大 おおやけのよつぎ 宅世継 と 夏 なつやまのしげき 山繁樹 という超ー老人( 歳 と 歳!)二人に、昔話を語らせるという対話形式(会話体)を取ったことだ。主に大宅世継が昔 を思い出しながら語り、それを夏山繁樹が補足したり訂正したりしながら話は進んでいく。そして その二人の話を何人もの人が聞いているのだが、その中の若侍( 歳)が聞き手を代表して時々質 問する、という形とっている。そのため、別名『世継が物語』あるいは『世継が翁の物語』とも 呼ばれた。 文徳天皇(850年)から後一条天皇(1025年)までの 代 年を紀伝体で語っている。内 容は、各天皇にまつわる話や、有力貴族であった藤原氏の面々の政治上の駆け引きなどだ、特に 平安史上もっとも権力を握った政治家藤原道長伝が中心になっている。 180 30 14 176 出 典 解 説  『大鏡』は平安時代に成立した「歴史物語」。「歴史物語」は『 栄 えいが 花(華)物語』からスタートして 四鏡(「 鏡 かがみもの

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