極める古文3 中堅~上位大突破編

さいふいふも、女 りけるを、久しうわづ ころほひ空しくなりぬ。さ わびしきことの、 世の常の人に あまたある中に、これはおくれじお 惑はるるもしるく、いかなるにかあらむ 手などただすくみにすくみて、絶えいるやう にす。さいふいふ、ものを語らひおきなどす べき人は京にありければ、山寺にてかかる目 はみれば、幼き子を引き寄せて、わづかにい ふやうは、 「われ、はかなくて死ぬるなめり。 かしこにきこえむやうは、 『おのがうへをば、 いかにもいかにも知りたまひそ。この御後の ことを、人々のものせられむ上にも、とぶら ひものしたまへ』ときこえよ」とて、 「いか にせむ」とばかりいひて、ものもい れずな

第7講『蜻蛉

たが、 世間の人がなさる以上 盛大に行ってく さい』と申し上げて ください」 言った後 「どうしよう」と言ったきり 口もき くことができなくな てしまった。長く患った後に亡くなって しまった

それにしても、母 まった。まったくどうしよう 普通の人とは比べものにならない れていた通り、どうしたわけだろうか、手 で、息も絶えそうになった。そうなり がらも ことを相談すべき な目にあったので、まだ幼いわが子(=道綱)をそばに せて、やっとのことで言ったことは、 「私は、このままむな く死ぬでしょう。 ことはどうなっても構わないでください。 ただ 母には

その母も 取り残されまい、一緒にあの世へと心

母の ことは、今はどうしようもないことだとあきらめ

長く患った末に、秋の初

夫の兼家は

お父様に

伝えていただきたいことは、 『私の

京にいたし、

私は 山寺でこのよう

私の母の葬儀を

私も 生きてい

肉親の

中で、

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