極める古文3 中堅~上位大突破編

たまひつる も忌むまじきさ なかるべし」なども そのほどのありさまは ざしあるやうに見えけり。 のすることなど、いたつく人多 はてつ。 いまはいとあはれなる山寺 つれづれとあり。夜、目 合はぬままに き明かしつつ、山づらを見れば、霧はげに麓 をこめたり。京もげにたがもとへかは出でむ とすらむ、いで、なほここながら死なむと思 へど、生くる人ぞいとつらきや。かくて十余 日になりぬ。僧ども念仏のひまに物語するを 聞けば、 「このなくなりぬる人の、 らはに 見ゆるところなむある。さて、近く寄れば、 消え失せぬなり。遠うては見ゆな 」 「いづ れの国とかや」 「みみらくの島となむいふ る」など、口々語るを聞くに いと知らまほ

をする人が大勢いて、全 した情趣深い山寺でみな一緒 いる。夜、眠れぬままに嘆き明か と、霧は本当にふもとに立ち込めてい 本当に誰の所へ身を寄せようというのだろ このままこの山寺に居たまま死にたいと思うの くれない て十日余りになった。僧たちが念仏の暇 話をしている くと、 「この亡くなった人の姿が、はっきりと見えるところ ある。そこで近寄ってみる 、その人は消えうせてしまうそう だ。遠くからなら見えるそうだ」 「それはどこの国であるかな」 「みみらくの島というところだそうだ」などと口々に話してい るのを聞くと、とても知りたく思い、悲しい気持ちになって、 思わず次のように歌が口ずさまれる。 ありとだに

き止めるの の 夫の 態度は、たいそ うして、あれやこれ

わが息子道綱が

夫は 立ったまま

・・・ =せめて

母の葬儀のことなど

いるのはたいそう辛いことだ。こうし

亡き母の姿

だけでも、遠くから見

、骨を折って世話

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