極める古文3 中堅~上位大突破編

さるは月日 そへて堪へ忍ぶべき心地もせ ず、心尽くしなることのみまされば、よしや 思へばやすきと、ことわりに思ひ立ちぬる心

師走にもなりぬ。 すさまじき日、いとと 二三人ばかりして物語など く更けぬとて、人はみないぬれ まれぬに、やをら起き出でて見るに 雲がくれたりつる月の、浮雲まがはずな がら、山の端ちかき光のほのかに見ゆるは、 七日の月なりけり。見し夜のかぎりも今宵ぞ かしと思ひ出づるに、 ただその折の心地して、 さだかにも覚えずなりぬる御面影さへ さ 向ひたる心地するに、まづかきくらす涙に月 の影も見えずとて、仏などの見え給ひ に やと思ふに、 恥づかしくも頼もし もな ぬ。  『う

第2講

そうはいうものの 月日が経つにしたがって堪え忍ぶことの できる心地もせず、 気をもむことだけがまさってくるので、 ええ、

真っ先に心が暗くなってしまう涙に月の光も見えないといっ て、仏などがお姿を現しなさったのであろうかと思うと、恥ず かしくも頼もしくもなった。

陰暦の十二月にも 降って風もとても激しく 降ろしてまわって、 、 三人 に、夜もたいそう更けたと言って が、 私は まったく寝ることができないので、そ みると、宵の刻には雲隠れしていた月が、 がら、山の端に近い光がほのかに見えるのは たのだなあ。 あの方を最後に 日の月の夜だったよと思い出すと、 まるでその折の心地 はっきりとは思い出せなくなってしま た も、 私があの方と

今差し向かっているような心地がする時に、

見た夜も、ちょうど今夜と同じ七

あの方の

御面影まで

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