極める古文3 中堅~上位大突破編

のつきぬる しかりける。 「 と言へばえに、悲し 春ののどやかなるに る手習の反古など、やりか の御文どもを取り出でてみれば づきそめしはじめよ 、 冬草枯れ果 折々のあはれ忍びがたき節々を、うちと 聞えかはしけることの積もりにけるほども、 今はと見る あはれ浅からぬなかに、いつぞ や、常よりも目とどまりぬらんかしと覚ゆる ほどに こなたの主、 「今宵はいと寂しくも の恐ろしき心地するに、ここに臥 給へ」と て、我がかたへも帰らずなりぬ。あなむつか しと覚ゆれど、 せめて心の鬼も恐ろしけ ば、 「帰りなん」とも言はで臥しぬ。

帰らなくなってしまった。ああめんどう と思うけれども、と ても自分の心の鬼の出家の決意も恐ろしい で、 「

ままよと決 る決心がついた とうれしかった。 「 て言おうと思っても言え 春ののどかな日に、なんと た紙などを破ってしまうついでに 出してみると、梅の枝が色づき始めた てるまで、四季折々のしみじみとした耐え 打ち解けて書き交わした文章が積も た のを これが最後と思って見てみると、感慨が浅くない中 たいいつのころのものだったかなあ、といつもよりも目 まっているよ、と思っているうちに こちらの部屋の主が、 晩はとても寂しくなんとなく恐ろしい心地がするので、ここに 一緒に横になってください」 言うので、

に 帰ろう」とも言わないで

そのままその部屋で

あの人の

仏様の

私も 自分の部屋へも

お手紙などを取り

霊験であろうか

横になった。

自分の部屋

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