極める古文4 上位~難関大突破編

その時、大臣上達 は、 「他国のかりそめ おはする程、我が家の内に つりて見ばや。さて子をもうみ かばかりいみじき人の名残 留めた えも言はざる事なり」と、おもひねがは なくて、さる用意をしつつ、気色とり聞こゆ れど、 「わが世にてだに、さやう 事おもひ よらざりしを、まいて知らぬ世界に さるふ るまひをし出でたらんに、いと便なからんか し。さだにゆきかかりなば、 返らんとせんに、 事悪 くなりなんかし」と思ふに、御子もし のびて、 「さおもむけおもへる人いと多からんめり。 かならずおぼしなよりそ。かうこそただう るはしき世界と見ゆれど、人の心いとおそ 第8講『浜松

まうだろうよ」と思っていると、御子もこっそりと忍んで来て、  「 娘のところにあなたが

当時、大臣上達部 の一時滞在する人である る間は、自分の家の中に出入 だ。そういうふうにして、 のすばらしい人が去ってなおそのあと て、 その子を だ」と思い願わぬ人はなくて、そのような心遣 言の 機嫌をとり申し上げるけれども、 さえ、そうした て他国でそうしたふるまいをしでかそうものならば、たいそ 都合であろうよ。そんなふうにさえも行きがかりができてしまう なら、日本へ帰ろうとした場合に、たいそう具合が悪く ってし

あなたをひっかけようと思っている人がたいそう大勢いるようで す。どうかきっとお心ひかれなさらないでください。この国はこ

留めているとしたら、言いようもなく喜ば

色めかしいことを

通ってこられるようにするもくろみに

娘が 子をもうけたならば、これぐらい

思うことはなかったのに、まし

中納言は

「日本においてで

中納

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