極める古文4 上位~難関大突破編

灯も、道を もろともに消え く心細きながら、何 まで永らふらむ。惜し く思捨つれども、子を思ふ びがたく、道をかへりみる恨は なく、さても猶東の亀の鏡に映さば らぬ影もや顕はるゝと、せめて思ひ余り て、よろづの憚りを忘れ、身をようなき ものになし果てて、ゆくりもなく、いざ よふ月に誘はれ出なむとぞ思ひなりぬ る。

さりとて、 文屋康秀が誘ふにもあらず、 住むべき国求むるにもあ ず。ころは三 冬立つ初めの空なれば、降りみ降らずみ 時雨も絶えず、嵐に競ふ木葉さへ涙とと もに乱れ散りつゝ 事 ふれて心細く悲 しけれど、人や ならぬ道なれば、行き

一人の身は 冬になる初めのころの空なので 降ったり止んだりして 時雨も絶 えること く、嵐に も、涙と一緒にしきりに乱れ散って、何か事あるごとに頼りなく不 判を受けた てくれるという訳でもなく、また( た。 そうかといって、 のように

るか、 頼りなく不安な に 生きながらえてこら してもその方法がなくて、それにして に思い悩んで、さまざまの遠慮や気兼ねも忘れ 下りの主人公のように)この身を無用の者だとあき 然に十六夜の月に誘われて が、子どもを ちであって、

その時がく

)住むべき国を求めるのが目的の旅立ちでもない。季節は

どうなってもよい

ならば、

かわいく 歌道 を振り返ることで

吹かれて

小野小町のように

事件の真相も

競争するよ 思う 親の 心の迷いはやはり耐えられな と簡単に思い捨てること

鎌倉へ

先を争うように激しく散る木の葉まで

旅立ってしまおうという気になっ

明らかになるであろうかと、切実

文屋康秀のような男性が誘っ 『伊勢物語』の東下りの主人公

胸に生じる

あわれな

無念さは慰めようと

鎌倉幕府の正しい裁

年月を過ご

無事

自分

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