極める古文4 上位~難関大突破編

八条の女院に木工 り。ある暮れがた、土 て申しけるは、 「中将殿の 候ひし、木工の右馬允と申す者 八条の女院に兼任の身にて候ふなり も中将殿の御供つかまつるべう候ひつれ も、弓のもとすゑをも知り候はねば、 『ただ なんぢはとまれ』と仰せられ、西国へは御供 つかまつらず候ふ。なじかは苦しかるべき。 御ゆるされ候へかし。夕さり参りて、何とな きことども申してなぐさめまゐらせん」と申 せば、土肥の次郎、 「刀をだにも帯したまは ずは、苦しかるまじ」と申すあひだ、太刀、 刀を預けてげり。政時参りたりければ、三位 の中将これを見たまひて、 「いかに政時か」 、 「さん候ふ」とて、その夜は泊まり、夜もす

第4講『平家

都落ちの際 位の中将はこれを御覧になって、 「なん 政時か」 、 「そうでご ざいます」と言って、その夜は泊まって、一晩中、昔や今のい

八条の女院に木工 土肥の次郎のもとに行っ 以前召し使っておられました ますが、八条 女院にお仕えして したが、弓の上下の区別も知りませんので えはとどまれ』と仰せつかって、西国へはお供 でした。 とは どうして差し支えがありましょうか、差し支えはありま まい。どうかお許 くださいますよう。夕方に参上して、こ というこ もないことなどを話して差し上げてお慰め申 上げ たい」と申し上げたところ、土肥の次郎は、 「刀さえ身 お付 けにならないならば、差し支えはあるまい」と申すので、 は 太刀と刀を預けた。政時が

、西国へも中将殿のお供をいたすつも そのような身ですから、中将殿に会わせていただく

中将のもとに

参上したところ、三

政時

平氏

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