極める古文4 上位~難関大突破編

しうも候ふまじ」とて参らする。中将、文を 見たまひて、いよいよ思ひや増さり け ん、土肥の次郎に向かひてのたまひけるは、 「年ごろあひ知りたる女房に対面して、申し

の水屑とともになりなん 政時持ちて参りたり。 また守護の武士ども、 「見まゐらせん」と申せば、見せてげり。 「苦

ありしあり 行くへ」と、こ 一首の歌ありける。 なみだ川うきなを 一たびの逢ふ瀬ともがな 女房、文をふところにひ 入れ ことものたまはず。ただ泣くよりほ ぞなき。ややありて御返事を書きたまふ 苦しくおぼつかなくて、二年を送りつる心の うちを書きたまひて、 君ゆゑにわれもうきなをながすともそこ

悪い評判を いものだと思い 女房は、手紙をふと 泣いてばかりいた。しば く不安な状態で、二年を過ご 君ゆゑに たとしても、あなたとと に水底の水 政時は、 護している武士たちは、 「お手紙を拝見しよう 手紙を見せた。 「差し支えもございますまい」と言 中将に 差し上げる。中将は、手紙をご覧になって、ますます思 いがましたのだろうか、土肥の次郎に向かっておっしゃった とには、 「長年親しくしていた女房に対面して、お話し申した いこ があるのは、どうしたらよいか」とおっ ゃるので、実 平は情け深い者で、 「本当に、女房などにお会いになるとのこ とでいらっしゃいますなら、 何の差し支えがございましょうか」 と言ってお許し申し上げる。中将は、非常にお喜びになって、 人の車を借りて

女房の手紙を

女房を迎えに

・・・ =あなたのために、私もよくない

持って

参上させなさったところ、 女房は、

中将のもとへ

参上した。また守

手紙を

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