極める古文4 上位~難関大突破編

くしの身をいかにせむ といひて、いたう物思ひしりたるさまにて、 大方の心ざまさとくて、琴なども習はす人あ らば、 いとよくしつべけれど、 誰かは教へむ。 母君の、六つ七つばかりにておはしけるに、 習はし置い給ひけるままに、箏の琴よにをか

なき事おほ 乳母もなかりけ 時よりつかひつけた ぞ、後見とつけてつか 思ひかはして、片時はなれ 君のかたちは、かくかしづき給 もよりもおとるまじけれど、出でま となくて、あるものとも知る人もなし。 やう物思ひしるままに 世の中のあはれに心 うきをのみおぼされければ かくのみぞうち なげく。 日にそへてうさのみまさる世の中に心づ

ない。 習わせおかれたとおりに、箏の琴をたいそう上手にお弾きなさ るので、本妻の三男 十歳ぐらいの子が、箏に関心を持ってい ると言って 「この子に習わせなさい」と北の方がおっしゃる ので、時々教える。

命中から使 付けて召し使い 時も離れず、それに ように大切になさる姫君 世間の人たちとの交際もない いとばかりお感じになるので、このよ 日にそへて ゆく世の中で、心配の多いこの身をどうしたら うか。 と言って、ひどく悩みを感じた様子で、万事につけて性 明で、琴なども習わせる人があれば、きっとたいそう上手に くだろうが、いったい誰が教えるだろうか、教え 人 どい い。亡き母君 、

姫君は

次第に物心がつくにつれ、自分の

姫君が

・・・ =日ごとに我が身のつらさばかりが増して

姫君は

六、 七歳ごろでいらっしゃった時に、

もの寂しく暇のあるにつけて裁縫を

この姫君の存在を

北の方が

知る人も

この

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