みんゴロ極める古文１

誰とか知らむとうちとけ給ひて、すこしさし のぞき給へれば、門は蔀のやうなる、押しあ

集へるらむ、とやうかはりて思さる。御車 もいたくやつし給へり、前駆もおはせ給はず、

ぞく。たちさまよふらむ下つ方思ひやるに、 あながちに長高き心地ぞする。いかな者の

りあげ渡して、簾などもいと白う涼しげなる に、をかしき額つきの透影、あまた見えの

まを見渡し給へるに、この家の傍に、檜垣と いふもの新しうして、上は、半蔀四五間ばか

門は鎖したりければ、人して惟光召させて、 待たせ給ひける程、むつかしげなる大路のさ

て尼になりにける、とぶらはむとて、五条わ たりなる家尋ねておはしたり。御車入るべき

六条わたりの御忍ありきの頃、内裏より罷 で給ふ中宿に、大弐の乳母のいたくわづらひ 第７講『源氏物語』口語訳

るのだろうと、源氏はいつもと様子違って珍しくお思いにな る。源氏はお車もたいそう目立たないようなみすぼらしいもの になさっているし、先払の声もてさせていらっしゃな

いるのが見える。あちこち動回っているような下半身を想像 すると、むやみに背が高い感じがする。どんな女が集まってい

ある簾などもたいそう白く涼しそうな感じの家に、美しい顔つ きをした女の簾越しの透き間を通た姿が、たくさんのぞいて

この乳母の家のそばに、檜垣というものを新しく作って、その 上の方は半蔀を四、五間ほど開けてあって、その内側に掛けて

べき門は閉まっていたので、源氏はお供の人に命じて惟光呼 び出させなさって、出てくるのをお待ちになっていらっしゃっ た間、むくるしい大通りの様子をずっと御覧になっていると、

源氏が六条辺りの女のもとへ忍んでお通いのころ、宮中から 退出してお出掛けになる途中の休み場所として、大弐の乳母が ひどく病んで回復を祈るため尼になったのを、見舞おうと思っ て、五条辺りにある家探していらっしゃった。お車を入れる

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