みんゴロ極める古文1
制限時間 30 次の文章は『源氏物語』「夕顔」の巻の冒頭で、源氏が病気見舞に大弐の乳母(源氏の養 育係。源氏の従者惟光の母でもある)の五条の家を訪れた場面である。当時源氏は六条御息 所のもとに忍んで通っていたが、乳母の家はそ途中にあった。以下の本文を読んで設問に 答えよ。 六条わたりの御忍ありきの頃、内裏より罷で給ふ中 なか 宿 やどり に、大弐の 乳母のいたくわづらひて尼になりにけ る、とぶらはむとて、五条わたりなる家尋ねておはしたり。御車入るべき門は鎖 さ したりければ、人して惟 光召さ せ て、 待たせ給ひける程、むつかしげなる大路のさまを見渡し 給へる に、この家の傍に、檜 ひ 垣 がき とい ふもの新しうして、上は、 半 は 蔀 じとみ 四五間ばかりあげ渡して、簾などもいと白う涼しげなるに、をかしき額 つきの透 すき 影 かげ 、あまた見えてのぞく。たちさまよふらむ下つ方思ひやるに、あながちに 長高き心地ぞする。 いかなる者の集へるならむとやうかはりて思さる。御車もたくやつし給へり、前 さ 駆 き もおはせ給はず、 誰とか知らむとうちとけ給ひてすこしさしのぞき給へれば、門は蔀のうな、押しあけたる。見いれ の程なく、ものはかなき 住 すまひ を、あはれに、 何 いづこ 処 かさして、と思ほしなせば、玉の 台 うてな も同じことなり。 りかけだつ物に、いと青やかなる葛 かづら の、心地よげに蔓 は ひかかれるに、白き花ぞ、おのれひとり笑 ゑみ の眉開け たる。( A )「遠 をち 方 かた 人 びと に物申す」とひとりごち給ふを、御 み 随 ずい 身 じん つい居て、( B )「かの白く咲けるを 『源氏物語』 分 ア a 1 b イ 2 第 7 講
解答編 112 ページ
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