新・ゴロゴ漢文問題集共通テスト編 オンライン限定コンテンツ版

らひて 甘 うま しとす。 此 こ の 一 いち 南 なん 一 いち 北 ほく の 者 もの 、 未 いま だ始 はじ めより相 あ ひ羨 うらや まざるなり。然 しか れ

糧 りやう を絶 た つこと七 しち 日 じつ 、飢 き 凍 とう 困 こん 踣 ぼく し、主 しゆ 人 じん

蓋 けだ し 嘗 かつ て 北 きた に 学 まな びて 主 しゆ 人 じん の 家 いへ に 食 しよく せ り。天 てん 寒 さむ くし大 おほ いに雪 ゆき 雨 ふ ること三 さん 日 じつ 、

て 飽 あ く 者 もの は 各 おのおの 足 た り、 真 まこと に 飢 う うる 者 もの は 択 えら ぶこと無 な ければなり。

稲 たう を食 く らひて甘 うま しとし、北 ほく 人 じん は黍 しよ を食 く

れに足 た る者 もの 、彼 かれ を羨 うらや むこと無 な しと雖 いへど も、 顧 あ に之 これ を棄 す つべけんや。何 なん ぞや。至 いた つ

ども両 りやう 人 じん の者 もの をして地 ち を易 か へて食 く らは ざるなり。道 みち の孔 こう 老 らう に於 お けるは、猶 な ほ 稲 たう 黍 しよ の南 なん 北 ぼく に於 お けるがごときなり。此 こ しめば、則 すなは ち又 また 未 いま だ始 はじ めより相 あ ひ棄 す て

を 望 のぞ みて 嚮 きやう 往 わう す。 主 しゆ 人 じん 我 われ を 憐 あは れみて、

書き下し文 現代語訳

食 しよく の 飽 はう に 於 お けるや、 一 いつ なり。 南 なん 人 じん は

思うに、かつて私が北方に遊学していた時にある主人の家に いそうろうしていた。天候は寒く雪の降る日が三日続き、食料 も尽きて七日間がたち、飢えと寒さで困窮しはて主人に食べ 物を乞いにいったことあった。主人は私のことを憐れんで、

ない)。なぜか。いたって満腹な者はそれぞれに満ち足りてい るが、本当にお腹が空 いる者はどちらかを選ぶことなどな いからである。

どちらか一方で満ち足りている者がもう一方を欲しがるこは ないけれども、どうして棄ることができようか(いや、でき

ない。道に孔子と老子とが説くちがいがあるのは、コメとキビ に南方と北方とで常食とするちがいがあるようなものである。

羨むことなどない。けれども、両人が住む場所を南北入れ替え て食事をすれば、また始めから互いに食べ物を棄てることなど

どんな食べ物も満腹にさせるという点において同じである。 南方の人はコメを食べて美味しいと思い、北方の人はキビを食 べて美味しいと思う。南方の人と北方の人とが始めから互いに

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