語彙・テーマ

解説 たくさんのレモンの中から、一つ選んだとします。そのレモンには、色・形・大きさ・重さといったさまざま な要素があり、それらの要素が具体的なそのレモンを構成しています。他のレモンを選んでも同じです。やはり、 色・形・大きさ・重さなど から構成されています。 そこで、それらの要素中から、一つの要素を、例えば、 大きさと重さの要素を取り出してみましょう。すると、 軽く上に投げたときに、どのような軌道を描くか解析するという形で力学の対象となります。あるいは、価格と いう要素を取り出せば、経済学の対象となり、異なる産地や品質のレモン比較ができます。 このように、 重さならば重さ、価格なら価格と、 具体的なレモンから共通する要素を取り出すことを、例文では 「抽 象」と言っている わけです。 しかも、大きさと重さが分かれば運動方程式を立てて放物線の軌道を知ることができますし、価格が分かれば そこから需要供給の関係も導き出せます。このように、 「抽象化され、分類された経験は、原則として、一定の 条件のもとで繰り返される」 のであって、それこそが科学の特質です (科学については基本テーマ5で解説します)。 「筆者の主張は抽象の部分にある」というのも同様の事情によると考えてください。

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