極める古文3 中堅~上位大突破編
しばしあ 参らせ給ふなり りやりなどするに、 さらにみじろがれねば 入りて、さすがにゆかしき のほころびよりはつかに見出で 大納言殿の参り給へるなりけり。 指貫の色、雪に映えてをかし。柱のもと 給ひて、 「昨日今日、物忌に侍れ 、雪のい たく降り侍れば、おぼつかなさになむ」と申 し給ふ。 「道もなしと思ひ るに、いかで」 とぞ御いらへある。うち笑ひ給ひ 「あは れともや、御覧ずるとて」などのたまふ御有 様ども、これよりは何事かはまさらむ、物語 にいみじう口にまかせて言 たることども も劣らざんめるを、とおぼゆ。
宮は、白き御衣どもに紅の唐綾をぞ奉りた る。御髪のかからせ給へるなど、絵にかきた
もつらい気 に火をたくさん しばらくしてから 白(=藤原道隆)様が、 は なんとかして部屋へ下がってしま 動きもできない状態なので、 少し奥へ やはり見たい気持ちがするのだろうか、御 からちょっとのぞ 込んだ。 実は関白様ではなく さったのだった。御直衣や指貫の紫色が、雪に照り映え 深い。 とは、物忌みでございましたが、雪がひどく降りましたので、 どうしていらっしゃるか気掛かりなものですから」と申し上げ なさる。 「 『道もなし』と思っておりましたのに、どうして おいでくださいましたのか
たちが さるかと思 まして」などとおっ るご様子などは、これに
殿は お笑いになって、 「
散らかっているものなどを取
大納言殿は
柱のところにお座りになって、 「昨日と今日
中宮様の
兄上の大納言(=
私のことを
参上なさるようです」と
」と 中宮様が
お側近くに
『あはれ』とでもご覧くだ
藤原伊周
お答えになる。
)殿が参上な
大納言
「関
女房
まあ
私
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