みんゴロ古文読解
水は、 さながら だに かたみの水は水 み 草 くき ゐにけり など、おもひし日しも見えたり。 れいの ことにてやみ にけり。 かやうに胸つぶらはしきをりのみあるが、世に心ゆ るびなきなむ、 わびしかり ける。 ちり ゐてあり。かくまでと、 あさましう たえぬるか影
うて ながむる ほどに、いでし日つかひしゆするつきの ありけり。上に塵 、 あらばとふべきを
第二部
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ら? あなたの残していった泔杯の水に せめて あ 浮かべば尋ねることもできる のに、形見の水には水草が浮かんでいて、あなた の面影が映ないので尋ねることもできないわ。 などと夫のことを思っていたちょうどそ日に夫が 姿を見せた。 いつもの 調子で夫婦げんかもうやむや のまま終わってしまった。 このように胸のつぶれるような思いをすることば かりあって、少しも心の休まることのないのが つら い ことだった。 なたの面影
このままで夫婦の縁が切れてしまうようなことも きっとある だろう よ」と思うと心細くて もの思いに ふけっている 時に、夫が去っていった日の朝に使っ た泔杯の水が、 ずっとそのままで あったのに気づい た。上にはほこりが浮いている。こんなにほこりが 浮くまで長い間夫の訪れがなかったのだ、と 驚き呆 れて 、 =あなたと私の夫婦の仲は絶えてしまったのかし だけでも
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