みんゴロ古文読解

とあるを、おしたがへるここちして、 なほ口をしく は のさまに やをら おはしましぬ。昼などはまだ御覧ぜ ねば、はづかしけれど、さまあしうはぢ隠べきにも あらず。またのたまふさまにも あらば 、はぢきこえさ せて やは あらむずるとて、 ゐざり 出でぬ。 あらずかし、 いかで 近くて、かかる はかなし ごとも言 はせて聞か む とおぼし立つ。二日ばかりありて、 女 をんなぐるま 車

第二部

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などにはまだ御覧になったとがないので、恥ずか しいけれど、見苦しく恥ずかしがって隠れるわけに もいかない。また、もし宮様がおっしゃるようにお 邸に引き取られるということでも なるならば 、恥 ずかしがり申し上げて いられようか、いや、いられ ないだろう と思い、 にじり出 てお出迎えした。

と思いますものの、もの思いで眠れはしませんが、 月を見たりすると かえって もの思いが増すので、 月は見ません。 と申し上げたところ、宮は予想外の心地がして、 や はり あの女は つまらぬ ものではない、 なんとか 傍らに置いて、こんな ちょっとした 歌でも詠ませて 聞こ う と決心なさる。二日ほどたって、宮様は女車 の様子で そっと いらっしゃった。宮様は、私を昼間

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