みんゴロ古文読解
と、まばゆき、人の御 おぼえ なり。 唐 もろ 土 こし にも、かかる 事の起こりにこそ、世も乱れ悪しかりけれ」と、やう やう天の下にも、 あぢきなう 、人のもて悩みぐさにな りて、 楊 やう 貴 き 妃 ひ の 例 ためし も、引きいでつべうなりゆくに、い と、 はしたなき こと多かれど、かたじけなき御心ばへ の 、 たぐひなきを頼みにて、まじらひたまふ。父の大納言 は亡くなりて、母北の方なむ、いにしへの人 の 、 由 よし あ るにて、親うち 具 ぐ し 、さしあたりて世の おぼえ 花やか なる御方がたにも劣らず、何事の儀式をも、もてなし たまひけれど、とりてて はかばかしき 後 うしろ 見 み しなけ れば、事あるときは、 なほ よ所なく心細げり。 目で見つつ、「たいそう目をそむけたいほどのご 寵 愛 だ。中国でも、このような事が原因で、天下も乱 れ、困った事態になったとかいうことだ」と言って、 次第に世間でも、 苦々しく 、人々の悩みのたねと なって、楊貴妃の前例までも引き合いに出しうに なっていくので、更衣にとってはたいそ きまりが 悪い ことが多いけれども、帝のもったいないほどの ご愛情 が この上なく素晴らしいのを頼りにして、他 の女御・更衣たちに交じって宮仕えをなさる。更衣 の父の大納言はすでに亡くなっていて、母である故 大納言の北の方は、古風な人 であって 風情ある人 であり、両親がきちんと そろっていて 、さしあたっ て世間の 評判 の華々しい女御や更衣たちにもひけを とらないように、どんな宮中の儀式をもうまく処理 なさったけれども特にこれといって 頼もし 後見 人がいないので、何か重大なことがある時は、 やは り 頼るあてもなく、心細い様子である。
第二部
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