みんゴロ古文読解

16 ゴロゴプレミアム講義  『源氏物語』における主人公の光源氏を理解するた めには、光源氏誕生以前にさかのぼる必要がある。 源氏の父は「 桐 きり 壺 つぼ 帝 てい 」、母は「 桐 きり 壺 つぼ の 更 こう 衣 い 」だが、 ここで問題なのは母の身分。「 更 こう 衣 い 」という身分は 御 み 息 やすん 所 どころ の中では、「 女 にょう 御 ご 」の下に位置する。つまり、桐 壺の更衣は帝からは寵 ちょう 愛 あい されていたが、身分はそれほ ど高くなかったということだ。 まして当時「弘 こ 徽 き 殿 でん の女 にょう 御 ご 」という右大臣の娘がい いえる。特に父桐壺帝の後妻である う強引なことをしでかしてしまう。こうした強引さも 源氏の魅力のひつではあるのだが、何人もの女性を 不幸にしたという現実も見落とせないところだろう。 さて、今回古文文法・虎の巻で取り上げた 「『に』 の識別」 は識別問題のNo.1であると同時に、文法 の総まとめ的な要素が高いものだ。また 「『なり』の 識別」 も識別問題のNo.2のものなので、ここはこ の二つにじっくりと取り組んでマスターしてから次に 進むことにしよう。 て、虎視眈々と皇后の地位をねらっていたのだから始 末が悪い。当然桐壺の更衣は弘徽殿の女御のいじめに あうことになり、そのいじめが元で桐壺更衣は病気 になって死んでしまう。それが源氏3歳の時であった。 これが後に源氏の精神に多大な影響を与え、母の面 影を求めて何人もの女性をさまよう原因にもなったと

10 に対 しては、母桐壺の更衣に似ているということから、 不 義密通 (つまり、継母とはいえ「母」関係をもった のだ)を犯し、さらには藤壺の宮の姪にあたる「紫の上」 をわずか 歳の時にみそめて後に妻にしてしまうとい 「藤 ふじ 壺 つぼ の宮 みや 」

第二部

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