みんゴロ古文読解

多くの受験生が誤解しているのは、鴨長明の『方丈 記』との成立順で、どうも兼好法師のほうが古いとい う印象を与えるらしく『徒然草』→『方丈記」と勘 違いしている生徒が多い。 正しい成立順は『方丈記』 →『徒然草』で、 『方丈記』は鎌倉初期成立、 『徒然草』 は鎌倉末(南北朝時代)成立 なので百年以上『方丈 記』のほうが早く成立している。

 『徒 つれ 然 づれ 草 ぐさ 』 筆」だが、入試では「吉 よし 田 だ 兼 けん 好 こう 」だったり「卜 うら 部 べ 兼 かね 好 よし 」だっ たりと、作者名はイマイチ一定しない。ただ一般的に は兼好法師と呼ぶのがもっともポピュラーだ。ちなみ 今回の文章でも、この世を無常ととらえるわりには 現世での住居論を展開しているあたり、俗世との接点

といえば、もちろん兼 けん 好 こう 法 ほう 師 し が書いた「随 に卜部家が神官をしていた「吉田神社」は京都市の左 京区の京都大学のすぐそばで、あの有名な銀閣寺の近 くだ。  をもつ『徒然草』らしい内容になっている。兼好法師 の生きた南北朝時代か見れば、平安時代はもう遠い

第一部

01 ゴロゴプレミアム講義 内容的には、人生訓的な随筆が多く、 が底流 に流れているとはいうものの、現代にも通じる人間観 察や思想が書かれていて読みやすくおもしろい。『方 丈記』のほう平安末から鎌倉初期時代の変遷期に 書かれているぶん、 「無常観」 の度合いは強い。 無常観

1

いずれにせよ、『徒然草』の古文は受験生にとって も読みやすく、内容的にも得るところの多ものなの で、是非一読をおすすめする。

昔になっているはずだが、文化的には 貴族の風流 心をよしとする立場をとっている。ただ、「をかし」 の『枕草子』は違って、男性的・武士な思想も強 く、単なる懐古趣味には終わっていない。

13

Made with FlippingBook flipbook maker