みんゴロ古文読解
23 ゴロゴプレミアム講義 むすめ と言われている。女房たちの会話を老尼 が聞いているという形式で、これは『大鏡』にヒント を得ている。 内容は『源氏物語』や『狭衣物語』などの物語論・ 歌集論・人物論で、 現存する最古の物語評論 。作者の 藤原俊成女は、有名な原俊成の養女。 藤原俊成 とい えば「 幽 ゆう 玄 げん 」を理想とした大歌人で、『 千 せん 載 ざい 集 しゅう 』の撰 者でもあった。歌書の『古 こ 来 らい 風 ふう 体 てい 抄 しょう 』は文学史問題 で出題されることがある。息子の 藤 ふじ 原 わらの 定 さだ 家 いえ も大歌人 で、こちらは『新古今和歌集』の撰者とうことで有 名だね。 さて今回の 敬語のテーマは「侍り」 だ。前回扱った「候 ふ」と同じような使い方をす語だ、平安時代半ば 『無 む 名 みょう ぞう 草 子 し 』は鎌倉時代前期の物語評論で、作者は 藤 原 俊 成 女 ふじ わらの とし なりの
第三部
3
まではこちらの「侍り」のほうが盛んに使われていた。 その後しだいに「候ふ」にとって代わられ、江戸時代 などの手紙では、文末が「~候 そうろう 」と終わるのが一般的 になった。 「侍り」は謙譲語と丁寧語の用法があり、補助動詞 の場合はすべて丁寧語 。問題は謙譲語の場合で、これ
けよう。係助詞「ぞ・なむ・や・か」の結びならば連 体形「侍る」、「こそ」の結びならば已然形「侍れ」と なる。
りは「候ふ」と同じ識別の仕方をすればいい。 ただし、「侍り」はラ変動詞なので活用に注意が必 要で、特に係り結びの結びになっている場合は気をつ
は気をつけてほしい。貴人のそばに「仕える」という 場合謙譲語で「お仕えする」、単にものが「あり・ をり・ゐる」場合はございますとなる。このあた
177
Made with FlippingBook flipbook maker