みんゴロ古文読解

第三部 7 源 げ 氏 じ 物 も そのころ、 高 こ ま う ど 麗人 の参れるなかに、 かしこき この御子を 鴻 こうろくわん 臚館 に つかはし たり。 御 おほむうしろみ 後見 だちて つかうまつる右大弁の子のやうに思はせて、 率 ゐ て たてまつるに 、相人おどろきて、 あまたたび 傾き あやしぶ。 国の親となりて、帝王の上なき位に のぼるべき相おはします人の、そなたにて見れば、 乱れ うれふる ことやあらむ。 おほやけ のかためと なりて、天下を 輔 たす くるかたにて見れば、またその 相たがふべし と言ふ。弁もいと 才 ざえ かしこき博士 にて、言ひかはたことどもなむ、いと興あり ける。 文 ふみ など作りかはして、今日明日帰り去り な む とする に 、かく ありがたき 人に 対 たい 面 め したるよろ そのころ、高麗人が参上していた中に れた 人相見がいたのを帝が お聞きになって 外国の人をお呼びになる ような 戒めがあるので、たいそう 人目を避けて 、この皇子 〔=源氏〕を鴻臚館に おつかわしになっ た。皇子の 御後見役のような形で仕えしている右大弁の子の ように見せかけて、右大弁が お連れ 申し上げると 、 人相見は驚いて、 何度も 首をかしげて不思議がる。 「この方は国の親となって、帝という無上の位にの ぼるはずの相でいらっしゃる方である、そういう 相として見ると、将来天下が乱れ 憂慮すべき事態の 生じる ことがあるかもしれません。 朝廷 の柱石と なって、天下の政務を輔佐する相としてみると、こ れまたその も違うようです」と言う。右大弁も たいへん 学才 に秀でた博士であって、お互いに話し 合っことがらはたいへん興味深いものであった。 漢詩 などを互いに作り合って、人相見は今日明日に 「 」 ん の 語 がたり 作者 紫 むらさき 式 しき 部 ぶ 、宮の内に召さ 物語 平安時代中期 相 とは、宇多の帝の 御 おほむいまし 誡 めあれば、いみじう 忍びて 、 さうにん 人 ありけるを きこしめして む こ ことは、宇多帝の御

非常にすぐ 、宮中に

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