みんゴロ古文読解

む 」とおほせたまひけり。 うけたまはり て、 すな 、   あさみどりかひある春にあひぬれば なく す。帝、御袿

はち とよむ時に、帝、 ののしり あはれがりたまうて、

り たら むに したがひて、まことの子とはおもほさ

御 しほたれ たまふ。人びともよく 酔 ゑ ひたるほどに 。「 ありとある 上 かん 達 だち 部 め 、みこたち、四位 五位、これに物ぬぎて取らせざら む 者は、座より 立ちね 」とのたまひければ、かたはしより、 上 かみ 下 しも て、酔ひ泣きいと うちき ひとかさね、

袴 はかま たまふ みな かづけ たれば、 かづき あまりて、ふた 間 ま ばか り積てぞ置きたりける。

かすみならねどたちのぼりけり

6 第一部

お う 」とおっしゃった。そのおことばを お受け て、玉淵の娘は すぐに 、 =薄緑色にかすむ、生きがいのある春に巡り合っ たので、春霞ではないが〔=取るに足らない 卑しい者すが〕、霞が立ち上るようにこの御 殿に参上したのです。 と歌を詠んだ時に、帝は 大声をあげて しみじみ と感動しなさって、 涙を流し なさる。おそばの 人々も十分に酔っているときであって、感動の あまり酔い泣き またとない ほどにする。帝が 御袿一揃い袴とを褒美として お与えになる 。 そして帝は「ここにいる すべての 上達部や皇子 たち、四位、五位の殿上人よ、この娘に着物を 脱いで与えない ような 者は、この座から 立ち去っ てしまえ 」とおっしゃったので、片端から、 身 分の高い人も低い人も みな衣服を 与え たので、 玉淵の娘は いただき 余って、二間ほどに積み重 ねて置いたのであった。 し

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